令和6年度 ひょうご海の子作文
令和6年度「ひょうご海の子作品展」作文受賞作品
兵庫県知事賞
「ぼくの大好きな播磨灘」淡路市立北淡小学校 6年
僕が住んでいる北淡地域には漁港があり、播磨灘が見え、常に海を感じることができます。毎日バスで海沿いを走って通学し、窓から海を眺めています。家からも海が見えます。
三月になると、いかなご漁へ出る船の音が朝早くから聞こえてきます。昼間には、くぎ煮を炊く甘いにおいが漁港の方からしてきます。それを体感すると、ぼくは、寒い冬が終わって今年も春が来た!とわくわくした気持ちになります。ぼくにとって、春の知らせの合図です。夏は、夕日がとてもきれいです。太陽がしずむ時間に近づくと、空が黄色くなり、昼間の青い海と青い空とは逆に、赤色がかった海としゅ色の空を見ることができます。その様子を見ると、「今日も一日終わりだなあ。」と朝からがんばって一日過ごした自分へ、おつかれさまと言いたくなります。夏の海は、青くてすんでいて、いつまでも見ていたくなります。秋や冬は、空気がすんでいて、海の向こうの工場やマンションまでよく見えます。夜になると海の向こうの夜景がとてもキラキラしていて、見とれてしまいます。冬の海は、風が強い日には波が荒く、海水が道路まで上がって来ます。それを見ると、さらに厳しい寒さを感じますが、冬の寒さに負けずに元気でがんばろう!と気がひきしまります。ぼくは、北淡地域から見える様々な海の景色から、季節を感じたり、いやしや元気をもらったりしています。
五年生の時に、学校の体験授業で、ヒラメの稚魚を海へ放流しました。ヒラメを海へ放流した時、海へ走っていくかのように素早く泳いでいく様子が印象に残っています。その時、これからも魚が元気に泳げるような海を守っていきたいなと思いました。
今、淡路にはたくさんの観光施設や別荘が建設され、たくさんの観光客が訪れています。たくさんの観光客が訪れることによってぼくが心配なのは、ゴミ問題です。淡路に住んでいる人と観光客で協力してゴミを決められた日に、決められた場所へ出したり、ゴミのポイ捨ては絶対しないように心がけたりすることが大切だと思います。簡単そうに思えるけど、なかなかできることではありません。時々、白のナイロン袋にゴミをつめたものや空き缶が砂浜に捨てられているのを見ます。それを見るととても残念で悲しいです。
いつまでも、いつまでもこの北淡地域の海が守られることで、魚や漁業の人達の仕事を守る事もできます。一人ひとりの思いやり、みんなで協力して、未来へつないでいきたいです。
兵庫県教育長賞
「カキの味」加古川市立氷丘中学校 2年
小学生の頃、御津の道の駅に行って蒸したカキを食べるのが好きだった。それはお皿に4個のってあり、2個ずつ父と分けて食べた。初めて口にしたときは、こんなに美味しいものがあったのかと驚いて、目を見開いた。そんな僕の表情を見て、父は笑った。
「御津、行くか」
先日の日曜、父が言った。
僕は中学二年生で、家族と出かけるのが何とも面倒になっていた。
「いや、ええわ」
僕は父に背を向けたままで答える。
「あのカキ、一緒に食べようや」
父は僕の背中に声をかけた。
「お兄ちゃん、いっしょにいこう」
三歳の妹が元気いっぱいの笑顔で言う。
「みんなで行こう」
母も加わってきた。
「うるさいなあ」
そうため息まじりに立ち上がり、僕は着替えを始めた。「いや、ええわ」と無愛想に言ったばかりでなんか格好悪いなと思いながら、頭に浮かんで離れないのは、あのカキだった。
「先に車、いっとくぞ」
父はそう言って玄関を出た。小学生の頃と比べ、父との会話は格段に減っていた。手をつないで歩いたり、公園でボールを蹴ったり鬼ごっこをしていたときが噓のようだった。母と話す時間はまったく変わりがない。だから必要なことは、母にだけ伝えることが多くなった。父はそれをどう思っているだろうか。
「まあおれも中学のときは、そんなもんやったしな」
そう父が母に話しているのを耳にしたことがある。勘違いかもしれないが、どことなくさびしげな雰囲気を言葉に乗せていた。
御津の道の駅に着いてすぐに、妹と手をつないで階段を下り、海に出た。空にはほとんど雲がなく、波はきらきらと妹の顔を照らした。その光に負けないくらいの笑い声を上げて、妹は走りまわった。その様子を見ながら、僕も小学生まではこんな感じだったなと、大して昔でもないのに懐かしい気持ちになった。つよくはない海からの風が心地よかった。
「ほら見て、お兄ちゃん」
妹が僕に見せた小さな貝殻は、七色の光を放つかのような不思議な色合いをしていた。
「カキ買ったから、食べよか」
父が僕と妹を呼びに来たので、僕はベンチに座って、あの蒸したカキを食べた。やはり文句なしに美味しかったが、2個をお皿に残して、父に渡そうとした。
「お、ありがとう。でも全部食べてええぞ」
僕は黙ってカキを食べた。
身長が伸び、声が低くなって、小学生の頃とは違う自分になった。でもこのカキの味と家族のあたたかさは、変わらずに僕の心を満たしてくれた。
講 評
兵庫県知事賞 「ぼくの大好きな播磨灘」
毎日バスの窓から海を眺めながら学校に通う筆者は「常に海をくらしの中に感じている」と言います。そんな大好きな海、播磨灘を情感豊かに書き綴りました。
「春はくぎ煮の甘いにおい」「夏は夕日」「秋、冬の海の向こうまでよく見える景色」「冬の波が荒い日」とあの枕草子のように四季の移り変わりを捉えては、「今年も春が来た!」「今日も一日終わりだなあ」「見とれてしまう」「冬の寒さに負けずに元気でがんばろう」とその時々の自分を表現し、生活の中心いや自分の中心にある海への思いがあふれていました。
特に「3月になるといかなご漁へ出る船の音が朝早くから聞こえてきます。昼間にはくぎ煮を炊く甘いにおいが港の方からしてきます。それを体感すると…」と五感で感じたことと時間の経過をうまく重ね、「春が来た!」わくわく感を情景豊かに表現しました。
5年生の時には授業でヒラメの稚魚を放流した際「これからも魚が元気に泳げるような海を守っていきたい。」と感想をもちました。
また、時々砂浜で見かけた白いナイロン袋いっぱいのごみや空き缶ふ不安を感じ、ポイ捨て問題を解決するには淡路に住む人間、淡路へ来た観光客が協力して決められた日に、決められた場所に出す、ポイ捨ては絶対にしないと心がけることを呼びかけています。
稚魚を放流し海を守った体験と砂浜で感じた環境問題…。そんな学びからこの播磨灘を守ることが魚を守るだけでなく、この海で生きようとする人々の暮らしを守る、「一人ひとりの思いやり、みんなの協力で播磨灘を未来へつなげていきたい。」と思いをまとめました。
これからも自分の人生を歩む中で経験したこと、学んだことを生かして「海」と共に生きていくことを望みます。
小学生の頃によく御津で食べた、蒸した二個のカキ。四個のカキをお父さんと二個ずつ分け合ったという当時のエピソードが、後に重要な伏線となって回収される見事な構成の作文でした。
「波はきらきらと妹の顔を照らした」「小さな貝殻は七色の光を放つかのような不思議な色合いをしていた」という二か所における表現は、その効果を考えて描写するという文章力が光る部分でもありました。
また三歳の妹は、「お兄ちゃん一緒に行こう」と誘ったり、笑い声をあげて走り回る姿を見せて宮﨑さんの幼いころを思い出させてくれたりという、絶妙の役回りとして登場しており、その妹の手を引いて海岸に降りる場面を想像すると、妹思いの宮﨑さんの人柄がにじみ出ていました。
小学校の頃は二個しか食べられなかったカキを今は四個食べられるようになり、その成長を理解するお父さんはさりげなく「全部食べてええぞ」と言葉をかけました。
「身長が伸びて声変わりはしても、カキの味と家族の温かさは変わらずに心を満たす」という最後の部分は、大好物の海の幸カキが疎遠になっていた父子の会話を引き寄せ、希望あふれる家族の将来を想像するに余りある結びとなっていました。
これからも美味しいカキを育んだ美しく豊かな海を思い、家族みんなで仲良く暮らしていってほしいと思います。
令和6年度 ひょうご海の子作品展 作文部門 受賞作品 | |||
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賞 | 学校名 | 学年 | 題名 |
兵庫県知事賞 | 淡路市立北淡小学校 | 小学校6年 | ぼくの大好きな播磨灘 |
兵庫県教育長賞 | 加古川市立氷丘中学校 | 中学校2年 | カキの味 |
JF兵庫漁連会長賞 | 淡路市立北淡小学校 | 小学校6年 | 魚の減少 |
明石市立朝霧小学校 | 小学校6年 | 豊かな海を守るために | |
JF兵庫女性連会長賞 | 明石市立朝霧小学校 | 小学校6年 | 海のために私たちができること |
淡路市立北淡小学校 | 小学校6年 | 海の環境と人 | |
農林中央金庫大阪支店長賞 | 明石市立衣川中学校 | 中学校3年 | みんなの海 |
明石市立衣川中学校 | 中学校3年 | 海洋環境・汚染について | |
JFなぎさ信漁連理事長賞 | 淡路市立北淡小学校 | 小学校6年 | 淡路島の海のいいところ |
明石市立明石小学校 | 小学校2年 | 人生はつの魚つり | |
佳 作 | 淡路市立北淡小学校 | 小学校6年 | 兵庫の海 |
市川町立市川中学校 | 中学校1年 | 海の問題 | |
港島学園小学部 | 小学校5年 | 大好きな海と魚をまもるために | |
加西市立宇仁小学校 | 小学校2年 | 海と魚をまもるために | |
淡路市立北淡小学校 | 小学校6年 | ぼくたちの海 | |
淡路市立北淡小学校 | 小学校6年 | 海のゴミ | |
淡路市立北淡小学校 | 小学校6年 | 近年の海について | |
淡路市立北淡小学校 | 小学校6年 | 皆で作っていく海 | |
淡路市立北淡小学校 | 小学校6年 | 海の思い出 | |
淡路市立北淡小学校 | 小学校6年 | 悲惨な暮らしをしている生物 |
以上の作品が受賞しました。
県内の小中学生より109点のご応募をいただきました。
ありがとうございました。