令和元年度 ひょうご海の子作文

令和元年度「ひょうご海の子作品展」作文受賞作品

兵庫県知事賞
「プラスチックのゆくえ」 川西市立川西北小学校 3年 杉森 大遥

少し前にファミリーレストランに行ったらジュースのストローが無くなっていた。スーパーで買い物をしたら、ビニールぶくろが一枚五円もした。前はただでもらえたのに、どうしてお金がかかるんだろうと思っていたら、インターネットニュースを見ていたお母さんがおどろきながら言った。
「北きょくの雪にマイクロプラスチックが入っているんだって!」
マイクロプラスチックは五ミリより小さなプラスチックのかけらで、風で空高くまき上げられて雨や雪の中にまざって地面にふってくる。ヨーロッパの国では前に見つかっていたけれど、北きょくで発見されたのははじめてで、これはとても大変なことだと書いてあった。
別のニュースでは、クジラやイルカなどの海にすむ大きな生き物が死んだ時、体を調べてみると、お腹の中からたくさんのゴミのかたまりが出てきたと言っていた。
海に流されたプラスチックゴミはくさってなくなることがないから、ずっとそのまま残ってしまう。それを海の生き物が食べてしまい、消化ができなくなって死んでしまうそうだ。
それと同じようなことを王子動物園で見たことがある。ふれ合いコーナーで放しがいのヤギや羊が死んだ時、お腹の中にたまっていた物がてん示されていた。コンビニのビニールぶくろ、おかしのふくろ、ペットボトルのふたなど。入園者が落としたり、手に持っていて動物に取られてしまった物だ。だから、ふれ合いコーナーに入る時には、手に物を持たず、かばんに直すようにかん板に書かれていた。だから、ぼくは動物園の中で気を付けていればいいと思っていた。
だけど、ぼくが公園で捨てたり、落としたゴミが風にのって川に落ちる。流れる水は海につながっている。そのゴミを海の生き物が食べて死んでしまうんだ。ぼくのふだんの生活が、しぜんの中で生きているたくさんの動物や魚たちを苦しめている。
このままではいけない。プラスチックをへらさないと、いつか海の生き物がぜつめつしてしまうかもしれない。
だけど、ぼくのまわりにはプラスチックがたくさんある。下じきやものさし、道具ばこ、リコーダーや絵の具セット。他にも無くすことができない物がいろいろある。
それなら、ぼくにできることは何だろう。ビニールぶくろはもらわないようにすること。外でゴミを捨てないで、家に持ちかえって分べつすること。ペットボトルをへらすために水とうを持ち歩くこと。物をこわさず、少しでも長く使えるように気をつけること。
ぼく一人でできることは、あまり多くないけれど、大切ないのちを守るために、今できることをしっかりつづけたいと思う。


兵庫県教育長賞
「おいしい魚を食べるために」 淡路市立学習小学校 6年 阪上 菜穂

私が住んでいる淡路島は海に囲まれていて、私の家は大阪湾を見わたせる位置にあります。そして、一年を通して旬のおいしい魚を食べることができたり、夏休みになると遠方からたくさんの人が淡路島を訪れ、海水浴を楽しんだりしています。
そんな豊かで立派なこの淡路島の海にも、大きく将来に影響するような問題がいくつかあるそうです。
一つ目は、私も実際に見て体験したことがあるのですが、みなさんはEM団子を知っていますか。EM団子には、海の底にたまっているヘドロを分解してくれる働きがあります。私はこの体験を五年生のときにしました。その時は、ただただくさくて早く終わってほしいという思いしかありませんでした。でも、あとからお話を聞いていると、この作業があるからお家でも給食でもおいしい魚を食べることができているのだなと実感しました。
二つ目は、これはテレビを通して知ったのですが、世界中の海にプラスチックごみがういていることです。この問題で一番胸が苦しくなったのは、海の生き物がプラスチックを飲み込んで命を落としたり、大けがをしてしまっているということです。この間私が海に行った時、シャンプーの容器とか、ペットボトル、ビンまで流れついているのを見ました。なぜ、人間のせいで何の罪もない生き物に傷がつくのか私には全く理解できません。でもこの問題を無くす取り組みとして、スターバックスやミスタードーナツのような有名企業がストローを紙製にするなどの活動を行い、少しずつ改善されているようです。私はこの取り組みの考え方に大きく賛成します。全ての会社がこの取り組みを始めれば、生き物にも地球にも環境にもやさしい世界になると思います。そして、魚の生態系を守ることができるようになるのかもしれません。
このように、世界中の人が同じ目標に向かって努力すれば、海の環境保全はすぐ目の前に見えてくるのではないでしょうか。昔、公害が起きた時、日本政府はその問題を解決するためにいくつかの法律をつくったと教わったことがあります。だから私はこの頃のように、プラスチックなどのごみを川や海に流さないようにするための法律をつくってほしいと思っています。私と同じ考えの人が少しでも多くあってほしいです。そして近い将来、人間と魚の共存を目指し、きれいになった海を次の世代に引きついでいきたいです。きれいな海を守るために、ゴミは捨てさせない、ゴミを見つけたら拾う。小さなことだけど、わたしにできることをやっていきたいと思います。


講  評

兵庫県知事賞  「プラスチックのゆくえ」

何気ない生活の場面から、「このままではいけない」と、大切なことに気付いていった杉森さんの感性が光る作品です。
ジュースのストローから、北極の雪のマイクロブラチックに考えが及び、今までの生活や考えを振り返り、そして、海に生きる命、陸に生きる命に対しての思いがあふれだしています。読み手にもすっと情報が入り、同じように自分自身を振り返ることが出来る、そんな書きぶりに感心しました。きっと、身近なことがきっかけで、誰にでも当てはまる内容が散りばめられているからでしょう。特に、「ぼくのふだんの生活が、しぜんの中で生きているたくさんの動物や魚たちを苦しめている」という部分には、うなずく人も多いのではないでしょうか。
具体物を挙げつつ、ではどうすべきなのかという結びが、一人一人への無理のない意識付けとなっています。世界の問題を自分の課題に置き換え実践しようとするところが素晴らしいです。

兵庫県教育長賞  「おいしい魚を食べるために」

 海に囲まれた淡路島に育った阪上さんは、海を、淡路島を愛するがゆえに、その環境問題に行き当たりました。EM団子によるヘドロ分解の意義やプラスチックごみによる海洋汚染問題です。海の環境保全を行い、おいしい魚を食べるためにはどうするべきかを真剣に考え、世界中の人が同じ目標に向かって努力することによって環境保全が叶うという考えに及び、人間と魚の共存を目指して次の世代に引き継ぎたいと結んでいます。
 思い描く幸せを実現するために自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考えた、阪上さんの小学校六年生らしい豊かな人間性を感じられる作品でした。
学びの、その先へ。
 この作文を書くにあたって考え、学んだことが「生きる力」となって輝きを忘れずに、明日に、その先の人生につながることを願っています。

賞名学校名学年氏名題名
兵庫県知事賞川西市立川西北小学校3杉森 大遥プラスチックのゆくえ
兵庫県教育長賞淡路市立学習小学校6阪上 菜穂おいしい魚を食べるために
JF兵庫漁連会長賞南あわじ市立辰美小学校3竹谷 海璃ぼくのすきな海
明石市立錦浦小学校4松本 望紀ぼくの大好きなイカナゴ
JF兵庫女性連会長賞たつの市立室津小学校3髙木 乃愛大切な海
淡路市立学習小学校6井筒 雛那私達にとって大切な海
農林中央金庫大阪支店長賞明石市立明石小学校3三木 遙華すてきな海
淡路市立塩田小学校5中川 莉来海の歴史
JFなぎさ信漁連理事長賞淡路市立学習小学校5岡田 琉聖自然豊かな海に
明石市立野々池中学校2吉田 隼人海の大切さ
佳作明石市立明石小学校1宮下 華奈明石の海の思い出
南あわじ市立福良小学校1浦﨑 彩葉たのしいうみ
加古川市立鳩里小学校1前田 掌輝ひょうごうみのこさくひんてん
淡路市立学習小学校2相田 理おいしいたこやき
明石市立花園小学校3片岡 ひより明石市のたこ
明石市立花園小学校3片岡 洸太出前じゅぎょう
南あわじ市立辰美小学校3大上 凌琥これからの漁業
たつの市立室津小学校3堀 悠人じいじはりょうし
姫路市立網干西小学校3丸岡 良輔海と友だちになろう
淡路市立塩田小学校5福岡 詩隆ぼくの町の塩田漁港
淡路市立学習小学校5新谷 日和やせた海
淡路市立学習小学校5居守 和葉海の魚を守ろう
淡路市立学習小学校5相田 純良EM菌とえびの放流
淡路市立学習小学校5小居 龍輝漁業体験
洲本市立由良小学校5濵端 風香両親の仕事
淡路市立学習小学校6中山 滋翔海を守りたい
淡路市立学習小学校6舩本 愛愁淡路島の海
淡路市立学習小学校6岩本 そら海のゴミを減らすためにできること
淡路市立学習小学校6正木 妃菜多海も生き物
明石市立野々池中学校2三村 友之介イカナゴの不漁

学校賞淡路市立学習小学校
たつの市立室津小学校
明石市立野々池中学校


以上の作品が受賞しました。
県内の小中学生より152点のご応募をいただきました。
ありがとうございました。

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